Z級映画、サメとスプラッタと時々プロパガンダ

これは対偶TUT Advent Calendar 2023の3日目の記事です。

はじめに

みなさんこんにちは、3系M1のSessと申します。

昨日の対偶TUTはT_TEST__さんの圧倒的な飯テロでした。とっても美味しそうなご飯がいっぱいあって夜中に見るべき記事ではなかったです。新しいラーメン屋さんには今度行ってみたいと思います。

さて皆さん、技科大には圧倒的に足りないものがありますよね?そうです、娯楽です。娯楽といえば何でしょうか?そうですね、映画ですね。というわけで、今日は私がここ数年間で観た映画の話をします。

ところで、私は一般的にクソゲー、クソ映画と呼ばれているものに魅力を感じてしまう、難儀な人間性をしております。クソゲーに関してはRTAを走る程度には好きです。

不思議なことに先駆者がいないため世界記録です

クソ映画に関しては、たまに好事家の友達とウォッチパーティをしています。 今回はそんな異常者たちと観た異常な映画をランキング形式で紹介します。なおランキングはおすすめ度です、クソ度ではありません。

※免責事項 : ここで紹介した映画を複数人で観た結果人間関係が壊れたなど悪影響が生じた場合、私は一切の責任を負いかねますのでご承知おきください。

10位/デッド寿司

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特殊な薬品により生物兵器と化した寿司と天才的な寿司職人の娘が死闘を繰り広げる作品です。松崎しげるさんも出演している、上位陣よりもよっぽどまともな映画です。では、なぜこの順位か。それは食べ物に対する生理的嫌悪感を催す描写がどうにも受け付けなかったからです。この国では食べ物に対する冒涜がもっともタブーとされていることがよくわかる映画です。申し訳ないですが二度と観たいとは思いません。

9位/デストイレ

ベトナム戦争から帰ってきた軍人が兄を殺したデストイレと死闘を繰り広げる映画。

Q : 素人質問で恐縮ですが、デストイレとはなんですか?
A : 人を嘲笑い、火を噴き、そして激しく爆発する悪魔トイレのことです。

全体的にとんでもなくチープな作品。上半身分しか用意していない軍人と神父の衣装(下は普通のジーンズ)、どう見てもチョコレートソースな血のり(ハーシーズ)、ラストで使われる明らかにキーホルダーの手榴弾(シルバープラスチック製)などなど枚挙に暇がないほどにチープを突き詰めています。だらしないお腹をした主人公による謎の演武とAviUtlで編集したような緊迫のエクソシズムシーンは必見です(※リップサービス

8位/100日間生きたワニ

Twitterで人気を博した、「100日後に死ぬワニ」の映画化作品です。映画としての感想は「虚無」「void」「null」といった感じです。60分間フラットな感情でいられる映像が映し出されます。この映画は原作を踏襲したワニが死ぬまでの前半30分と映画オリジナルの後半30分に分かれています。

前半に関して、原作では100日間毎日1話ずつ4コマ漫画が投稿されており、それぞれにオチに相当する部分が一応存在したはずです。しかし、映画では起伏のない日常が30分間続きます。何も起きない30分、劇場で観てたらコーラを飲む以外の娯楽がないことでしょう。あれ?映画って娯楽では?そんな30分です。

後半に関して、原作には登場しないオリジナルキャラクターのカエルが登場します。このカエル、アクが強いです。こいつが人間関係をかき回し、ワニを失った登場人物たちの止まっていた時間が動き出すというのが後半ストーリーであり、前半よりはかなり物語としての密度があります。しかし、このカエル本当にアクが強く、こいつが受け入れられるかどうかでこの物語の評価は変わってくると思います。私はダメでした、ごめんなさい。空気を読まずにワニの元友人たちに絡んでいこうとする強引さは確かに物語として必要ではあるのですが、ちょっとウザさが鼻につきました。

総じて、あまり不快な気持ちにはならないが面白くはないという評価です。

7位/シャーケンシュタイン

ナチスドイツが秘密裏に研究していた生物兵器フランケンシュタインが世界征服を企む悪の科学者の手によりサメと合体!現代によみがえる恐怖のシャーケンシュタイン!

これも割と虚無寄りの映画でした。一番面白かったのは登場するポルノ女優の芸名「ボニー・ボンボン」の語感が良かったところでしょうか。当然の権利のように上陸し、殺戮を繰り広げんとするシャーケンシュタインと抵抗する人類!そしてしょぼい演出で畳もうとするラストはこれぞZ級映画という趣で必見です。(※リップサービス

6位/大怪獣のあとしまつ

人類を未曾有の恐怖に陥れた大怪獣が突然死んだ...で、その死体どうするの?という切り口で公開前は割と期待されていた本作。蓋を開けてみればシリアスなシーンにこれでもかと捻じ込まれるサムいギャグを延々見せられる恐怖の作品です。ラストのデウスエクスマキナにはここまでの時間を返せと誰もが思うことでしょう。ちなみに私が観たときは視聴時に欠員が出ていたため、翌週全員そろった状態ででもう一周しました。一人だけ逃げるなんて許さないよ?

5位/キラー・ジーンズ

とあるアパレルメーカーの新作は誰にでもフィットするスキニージーンズ。しかし、それは人を襲う恐怖の人食いジーンズだった!

この辺りからは割と人に勧められる映画となってきます。閉鎖環境の中で人を襲う未知のクリーチャーとの戦いを描く正統派ホラーでした。悪いやつが凄惨な最期を迎えるカタルシスシーンも完備。徐々に明らかになっていくキラージーンズの目的とその誕生の経緯はある程度納得のいくものであり、無難な完成度の映画に仕上がっています。スプラッタ色が強い映画なので苦手な方はご注意ください。

4位/BAD CGI SHARKS / 電脳鮫

BAD CGI SHARKS / 電脳鮫(字幕版)

BAD CGI SHARKS / 電脳鮫(字幕版)

  • マシュー・エルスワース
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サメ映画の台本が現実化し、サメ映画のお約束が次々と主人公に降りかかる!一方でインターネットで知能を得たサイバー・ジョーズは人類に対する反逆を企てていた...

サメ映画を題材としたメタホラー映画。Unity等でおなじみのxyz軸が付いたままのサメが襲い来る様は一度見たら忘れられないインパクトを持っています。

togetter.com

こんなサメが出てきますが、れっきとした映画用のカメラで撮られた本格映画です*1死亡フラグを逆手に取る、謎の監督が出てくるなどの演出で好きな人はとことん好きな作風となっています。メタなネタ癖の強い作品ではあるものの複数人で野次を飛ばしながら見るには十分楽しめる出来でした。

ベスト3の前にプロパガンダ系映画

ここでいうプロパガンダ映画とは、とある人物の思想を啓発する目的で作られた映画のことです。私はここ数年で2作品観ました。まずはこちらから。

某エンタメ研究所所長NSNさんのプロパガンダ映画です。子供向け映画みたいな顔をしていますが、ほとんどの登場人物が心の中に多かれ少なかれNSNさんを飼っています。いや、テーマ自体は割と子供向けではあるんですよ。なにかを隠している大人に立ち向かう純粋な少年という構図は子供向け映画としては十分通用します。問題はどうしても我慢できずに出てきてしまったNSNさんのお金に関する哲学とラストを彩るギミックが子供向けでないという点です。

前者はこの世界で流通しているお金は時間が経つと腐ってしまうようにできており、そのおかげで経済がよく回っているという話が大した脈絡もなく出てきます。子供置いてけぼり。どうしてこの手の人って貯金をやたら否定したがるのでしょうか。

後者はラストシーンでキーアイテムとして登場する無煙火薬についてなのですが、おそらくこの映画が対象としている小学生にはこれがどういう物なのかわからないと思うんですよ。私が小学生の頃、級友たちは使い捨てカイロから火薬を取り出そうとしていました。あったかくなる薬品じゃないんだよ、火薬は。今作ではプペルが魔法的なエネルギーで動いているので、いっそご都合主義のマジックアイテムを出した方が子供向け映画の体裁は保てたのではないでしょうか。

そして、もう一本はこちらの映画

敏腕実業家HREMNさんのプロパガンダ映画です。この作品は彼の主宰するオンラインサロンで内輪向けに作った映画がなぜかアマプラに入ってしまったものなので映画批評の文脈で語るのは酷かもしれません。しかし、映画として公開されてしまった以上は逃れられない定めなので諦めてもらいましょう。

内容としては「惑星直列により、主人公の務める社屋ビルが突如無人島へ転移してしまった!主人公は周りに流されず生きる堀口さんにと共にサバイバル生活を開始する」といった感じです。堀口さんはHREMNのペルソナです。

この映画は前述の通りオンラインサロンのクラウドファンディングで作られた映画なので返礼品としての出演権を消化するシーンが必要となってきます。これが物語冒頭に集中しているため、さっそく視聴者をふるいにかけてきます。知らない人たちがよくわからない飲み会で盛り上がっているシーンが見られるのは多動力 The Movieだけ!

そして視聴者が映画に対する興味を失いかけてくる頃、惑星直列により無人島に転移してしまいます。

こんなんでもデストイレよりは頑張っているので評価していますよ?そして、植生から明らかに近所の里山とわかる無人島の雑木林、竹の根元から雑にとれる謎バナナなど突っ込みどころは続きます。そして極めつけは黒背景に白抜き文字で表示されるHREMN氏の名言シリーズ。アニメワルブレのクソデカ半年前を彷彿とさせる粋な演出により一部の視聴者の興奮は最高潮に達します。

そうですこの映画、実はツッコミどころがたくさんあって複数人でお酒を飲みながらワイワイ見る分には楽しいのです。ちょっと思想が強いのを流せる間柄の友達とであれば一緒にみて観るのも一興だと思います。これで君も立派なクソ映画ハンターだ!

3位/アフリカン・カンフー・ナチス

第二次世界大戦後、実は生きていたアドルフ・ヒトラー東条英機がガーナの地で現地の人々を白塗りのガーナアーリア人として洗脳し世界征服への準備を進めていた。ヒトラーにカンフーの同情をつぶされた主人公は復讐のために過酷な修行に挑む!

Z級映画界のフリー素材ことヒトラーにカンフーで勝負を挑む王道な映画。突っ込みどころと王道展開が絶妙なバランスで配合されており、笑って熱くなれる映画に仕上がっています。屋内で撮影していたところ怪しい儀式と思われ撮影許可が剥奪されたため、急遽屋外で開催される最終決戦は必見!アツいカンフーに酔いしれろ!

2位/深海47m

皆さんはケージダイビングというものをご存じですか?カゴに入ったまま海にダイビングし、サメなどの危険な海洋生物を間近で観察しようというアクティビティです。本作はそんなケージダイビングを題材にしたサメ映画です。

典型的な低予算で撮られたサメ映画ではあるのですが、限られた予算の中でいかに恐怖を演出するかという点において工夫の跡が随所に見て取れます。海の底に落ちてしまったケージの中で酸素が減っていく恐怖と周りを泳ぐ人食いザメの恐怖が徐々に主人公を追い詰めていく様はかなり緊迫感があって引き込まれます。主人公姉妹のお互いへのクソデカ感情もあって栄養バランスもばっちりで一番好きなサメ映画です。

1位/必殺!恐竜神

必殺!恐竜神父(字幕版)

必殺!恐竜神父(字幕版)

  • グレッグ・コーハン
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デタラメニンジャにアーメンダブツ!

開始2分の素晴らしい映像効果*2で観るものを疑問と爆笑の渦に巻き込む究極のエンターテイメント映画、それが必殺!恐竜神父です。(※個人の感想です。筆者は特殊な映画をたくさん観ています)

本作はZ級映画を突き詰めたZ級映画です。投げっぱなしの設定、投げやりな演出、どこからともなく突然生えてくる兄弟など普通の映画では絶対にお目にかかれない衝撃の展開の連続に理解が追い付きません。しかし、それらにはデストイレのような手抜き感はなく全力でチープを演出してやろうという監督の意気込みが伝わってきます。そうです、これは狙って作られたクソ映画なのです。わかりやすいストーリーラインにこれでもかと盛られた渾身のダメ要素は複数人で突っ込みながら見るには最高の出来です。私はこれ以上の酒の肴を知りません。是非みなさんも友達を誘って観てください!

おわりに

最後まで読んでくださりありがとうございました!皆さんの気になる映画は見つかったでしょうか? 明日の対偶TUTはSessさんがSteamで買えるゲームを紹介してくれます。クソゲーじゃないので安心してくださいとのことです。

それでは皆さんも良いクソ映画ライフを!

*1:Z級映画は家庭用ビデオカメラが基本

*2:VFX : Car on fire